Baby Led Weaningとかいうナンセンスを断固拒否して後悔はないという話

最近日本でも注目されているらしい、Baby Led Weaning。その名の通り、赤ちゃん主導で行う離乳食の導入スタイルです。BLWでは、食べるタイミングや、食べる量、食べるもののチョイスまで赤ちゃんが決めます。研究では、スプーンで食事を与えられる受動的な導入方法よりも様々な発達面に良い効果が見られているのだとか。イギリスで出産すると、ことある検診などで、Baby Led Weaningはやってる?と確認されます。

一応勧められるままに私も2回ほど試してみたりしましたが、バカバカしいと思ったのでやめました。検診でも、私は日本のスタイルでやっていきます、これはカルチャーの問題です!ときっぱりお伝えしてからは、BLWしてる?とは聞かれなくなれました(笑)

最近子育て中の海外の友人たちにもBLWについて聞かれることが増えたので、一体この記事が参考になるかはわかりませんが私の体験と考えをお話させていただきます。

1.別にどっちでもいいということ

まず言いたいのは、私はBLW否定派ではありません。私がナンセンスだと思うのは、日本の素晴らしい食文化というものがあるのに、わざわざ最近流行りの西洋スタイルの離乳食に切り替えたほうがいいのかしら、という悩みそのものです。日本の離乳食だろうが、BLWだろうが、突然赤ちゃんが喋りだすわけじゃないし、超能力が使えるようになるわけじゃないです。どっちでもいい。悩むほどのことでもないし、考える時間がもったいない。

私も、NCTのパパママ学級などで知り合ったママ友たちとよく情報交換しますが、Baby Led Weaningをしたからと言って自分の子供の発達がどうなの?と聞かれると正直食事に関してはうちの子ほど好き嫌いをしない赤ちゃんは見かけないし、食べる量も食欲も一人飛び抜けています。だから、BLWやったほうが子供のためにいいのか悩んでいる方にはこう言いたい。

全然必要ないから!、と。

2.日本の離乳食は厳しすぎる。BLWは緩すぎる。私たちはどうしたい?

我が子が初めて10倍がゆをペースト状にしたようなものを口にしたのは6ヶ月になる少し前くらいでした。その写真を見せたところ、日本の母親から「まだつぶつぶのようなものが見えるじゃないか」という指摘をうけ、それはそれで「どうかしている」と思ったものです。

だって、BLWの子どもたちは初日から茹でたブロッコリーを手づかみで食べているんだから。一応、喉に詰まらせないためにこのような形に切りなさい、このような食材は控えなさい、という指導はありますが、基本的なルールとして親と同じ食材をあげてOKなので、子供のために別メニューを用意する必要はないし、スプーンでご飯を赤ちゃんにあげる手間が省けて親は少しだけ楽ができます。BLWのレシピ集には、ローストしたラム肉の塊が6ヶ月からOK!なんて書いてあります。

消化にいいものをあげなくていいの?将来偏食にならないの?研究って何年分のデータをもとにしているの?私には疑問がいっぱい。そこで夫とBLWについて勉強しながら、自分たちで納得できた要素を日本式にとりいれるハイブリッドスタイルで離乳食を進めていくことにしました。

3.BLWで育った赤ちゃんを見て実感したメリット

BLWで育てられたその他の赤ちゃんたちをみて、明らかに実感していた我が子との違いが2つありました。

1つ目は、みんな指先の動きが器用だったこと。それは、普段からつかみ食べをしていることで、小さなものをつまんだり、する動作が自然にできるようになったのだろうと思いました。うちの子も指先で細かな動きができるようになったのも、つかみ食べを始めてからでした。

2つ目は、みんな満腹になると食べ終わること。普段から自分で食べるものを食べたいだけ食べているので、ここでやめよう、と自分で決めて食事を終えられるのはBLWで育てられた赤ちゃんに共通していました。それに比べてうちの子は、どれだけ大盛りの夕食を作っても完食、ごちそうさまが大嫌いで「おしまいね」、と言うと泣きます(笑)。そんな日は、おかわりを2,3回繰り返して渋々ハイチェアから降りる始末。つかみ食べや、自分でスプーンを使うようになってやっと、自分からもういらないというサインを送ってくれる日が増えたと感じます。

4.それでもBLWがナンセンスだと思う理由。

BLWのメリットも実感しながらそれでも、私の心は少しもなびかなかった理由は3つあります。

一番の理由は、「食事」を理解していない6ヶ月ころの赤ちゃんにとって、ゆでたブロッコリーや人参スティックなんておもちゃでしかなく、たまたま口に入れて噛んだら潰れて飲み込んだ、という遊びに過ぎないからです。私も数回試してみて、ほとんどの食材は投げられたり、握りつぶされたり、そもそも見向きもされなかったりで捨てる羽目になりました。この様子をみて私は率直に、BLWなんて食べ物を無駄にできる先進国の茶番だ、と思いました。

2つ目の理由は、食育はファッションではないよね、ということ。離乳食は食育の方針を決める大切な問題です。BLWは食文化が崩壊しているイギリスでそもそも食事に興味のない親が毎食子供のために特別メニューを用意するわけないよね、という前提でできた離乳食スタイルです。いろいろメリットが研究でわかっていると言われるけれど、結局はどうすれば親の負担を減らせるかな、というところがフォーカスなんだろうと思います。周りがやっているから、海外で主流の子育てをやってみたい、というファッション感覚で大切な我が子の食育の方針を決めてしまえる感覚が私にはわからない、というのが率直な考えです。

最後の理由は、喉に詰まらせないか怖かったこと。BLWをしたからと言って誤飲の可能性が上がるわけではないという研究結果はあるそうです。救急訓練を受けた友人の隣で試しに与えてみたブロッコリーをまるごと口に入れてオエッを連発。これは喉につまらせているわけではなく、慣れない食感や大きさのものを口に入れた子供の体の防御反応だから心配いらないのだとか。最初はみんなそうよ、と言われたものの、お互い拷問を受けているような気持ちになったので私たちには合っていないと再確認しました。

5.私達の離乳食の進め方「ハイブリッドスタイル」

一応夫婦でBLWについてもしっかり勉強した上で達した結論は、離乳食は日本のスタイルをデフォルトにBLWのいいころは取り入れていこう、というもの。やってよかったと思ったことはたくさんありますが、我が家の主なルールは5つ。

 1.〇〇期=〇〜〇ヶ月は無視

離乳食の導入は、初期、中期…と順序を守って導入しましたが次のステップへの移行は柔軟に。うちの子の場合、もう少し噛みごたえのあるものが食べたいという時期になると、食べたものを吐き出して教えてくれました。生後7ヶ月ころには、1日3食、内容も中期終わりぐらいの食事をしていたと記憶しています。

その他にも、自分でスプーンを握りたいだとか、手で食べたいというのも自分で教えてくれました。ちなみに手づかみ食べには全く興味を示さず、やっと始めたのが11ヶ月ころ。その頃には完了期くらいものを食べていました。

 2.バランス良く全部混ぜちゃっていい!

1歳をすぎるまでは、母乳が主な栄養源という赤ちゃんたち。じゃあ、何をあげても同じ?というのは間違い。現に私の知り合いに、離乳食の間にもっと色んな種類の味に触れさておけばよかった、というパパがいます。このことを知っているので、私達はかなり早い段階から海鮮物や肉類の出しなどを使って味に慣れてもらいました。幸いなことに今のところは好き嫌いもなく、食べるのが大好きな子に育っています。

赤ちゃんが初めて口にするものは、アレルギーなどの心配もありますし、食べ物そのものの味を知ってほしいというのもあり、別々にあげました。けれど、一度味に慣れたかなぁ、という食材は全部まぜて雑炊にしてオッケー。

朝はおかゆと3つの食材をその日のチョイスで、お昼はフルーツたっぷりのミルク粥、そして晩は雑炊やパスタなどのスペシャルメニュー。子供も喜んで食べてくれました。

 3.調味料は1歳になるまで使わない。

これはBLWの鉄則からとったもの。日本では中期くらいから少しずつ味噌や醤油などの調味料を使って良いとされると聞きますが、イギリスではその逆。おそらくこれは、イギリスにはお料理をすべて冷凍食品で済ませる家族もたくさんいるので、塩分や糖分が過度に使われた食事を家族が赤ちゃんとシェアすることを抑止する狙いがあるんだと思います。

味が淡白な分、毎食どんな違いをもたそうかはパパママの腕の見せ所です!

 4.食べ物でのお遊びは絶対”No!”

それまでミルクは食事だった赤ちゃんにとって、離乳食は未知なる儀式。「空腹を満たす」という儀式として赤ちゃんが理解するまでには、食べ物で遊んでしまうこともあるかもしれません。BLWではそれは「遊び」というより「学習」という捉え方をするんだと思いますが、我が家では最初から「No!」と伝えていました。そのためか、うちの子は食事の時間というのを早い段階で理解してくれたように思います。

我が家では、赤ちゃんが食べものを理解するために、握ったり、近くで眺めたり、ぺろぺろしてみたり少し上からお皿に落としてみたりするのを遊びとは呼びません。うまく食べられなくてお口から出てしまうのも、カップを傾けすぎてビショビショになっても、絶対に叱らない。うちの子の場合は、おちゃらけているとすぐわかるので、ニヤニヤしながらわざと床に食べ物を落としたり、投げたり、おさらで遊んでこぼしてみたりすると、厳しく指導するようにしています。

 5.お皿は陶器。プラスチックは使わない。

なぜシリコン製の食器が人気なのか、それは赤ちゃんが投げ飛ばしてもいいからですよね(笑)。我が家では、8ヶ月ころには陶器製の器に変えました。アンテークの1990年代に作られた小皿です。投げ飛ばしにくくするためか、とても重いんです。

「どんなに小さくてもね、赤ちゃんでもね、だめなことは教えてもらったらちゃーんとわかるんだよ。」と昔父が言っていたのも後押ししてくれました。

さてうちの子は、どうだったでしょう。投げ飛ばしたことは今まで一度もありません。それどころか、完食しても名残惜しそうにお皿を抱きしめたりペロペロしたりします。ズッ友です(笑)。大人と同じ、陶器の器にカップ。これって私達両親から我が子への信頼とリスペクトだと思うんですよね。いつかそれが伝わる日が来るといいなぁと思います。

6.大切なのは…

我が家の離乳食第五箇条を見ていただけるとわかるとおり、大事なのは日本式の離乳食にするか、BLWにするかではなく、ママのおっぱいにさようならを言うための一歩を踏み出した我が子のそばにいて、その過程を一緒に楽しめることだと思うんです。初めてのおかゆ、初めてのパスタ、初めての卵…その一つ一つ体験を一緒に喜んでたくさんぎゅっとしてもらえたその温かい時間の積み重ねがその味を好きにさせ、自分や他人が口にするものへの関心となり、もっと新しいものを食べたいという意欲へとなるんだと私達は信じています。

私はしがない新米ママ。私が我が子にしていることが果たして正しいのかどうかわかるのきっと10年後、いやもっと先なのかもしれない。その時も自信を持って伝えたい、ママもパパもあなたのために毎日必死になれることが幸せだったのよ、って。

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